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平成28年度 若年技能者人材育成支援等事業

技能伝承に取り組む企業の好事例発表及び意見交換 発表主旨

(1)開催日時  平成28年11月21日(月)16:00~17:10
(2)開催場所  植平工業株式会社 会議室   宇陀市大宇陀大東203-1 ℡0745(83)3011 
(3)好事例発表企業 株式会社クスダ 常務執行役員 機械加工部ゼネラルマネ-ジャー 吉田 晴彦氏
(4)意見交換会参加企業
  株式会社丸島アクアシステム   総合戦略センター部長代理  木本 誠 氏
  植平工業株式会社        代表取締役社長       植平 秀次氏
  梅乃宿酒造株式会社       社長企画室         部長 福山 和子氏
  有限会社菓楽          代表取締役           丸山 拓也氏
(5)有識者
  元DMG森精機株式会社     人材開発センター所長     原田 久夫氏


(6)内容

まず株式会社クスダ 常務執行役員 機械加工部ゼネラルマネージャー 吉田晴彦氏から自社の事例発表をお願いした。

株式会社クスダは宇陀市にある鋳物製造および機械加工の会社で従業員55名です。
我社では、両部門でそれぞれ独自に技能伝承に取り組んでいます。私は機械加工の責任者なので機械部門を中心に話を進めたいと思います。機械加工部門では鋳造で出来上がった製品を自社でできるものは出来る限り自社で加工して出荷している。
最近そのようなニーズも高い。人材育成については、OJTで実務をしながら、3~4年で見直しをしている。
現状の技術レベルはどうなのか?どう伝達していくのか?意識共有を持ち、役職者が明確化している。
そのなかで①事例集を残す。
資格制度と意識づけ。特に技能検定の取得を目指し2013年にはものづくりマイスターに来て頂いて指導して頂いた。マイスターは素晴らしい技能を持っておられ、若い社員に非常に良い影響を与えて頂いた。測定技能の基礎を築き現場の技術に対する意識が高くなった。
②作業記録を作製し伝承する。
文書化していくこと。 また、資格を見えるところに張り出した。若い技能者とユーザーを訪問し、自分たちが加工した物が、何処へどのように使われているかなどを学び、製品への理解を深め、ユーザーへ提供する製品の品質が向上し、技術の向上も狙うことながら社員ひとり一人の成果、部下への意識が変わってきた。
有資格者が10人未満だったのが、25人に増加。

次に技能の伝承について意見交換会に移る。有識者の元 DMG森精機株式会社 人材開発センター所長 原田 久夫氏から意見交換会参加企業に対して各社の技能伝承について意見を求めたところ


梅乃宿酒造株式会社 社長企画室 部長 福山和子氏
日本酒はもとより、リキュールを製造していて、夏の仕事として梅酒を製造している。
もともと杜氏や蔵人は季節雇用だったが人が変わるので年間雇用にして採用した。蔵人はもともと触れば0.5℃までわかる職人の世界だが、仕事のカン・技術は経験による伝承であった。今は温度計などもあり、それをデータ化し工程ごとに文書化(マニュアル化)をしている。
若い人が多い。また週3日雇用の定年延長も実施している。
南部杜氏の講習会にも参加。 人材確保にはインターンシップを活用し、大学とのタイアップで日本酒のマーケティングを調査したりしている。


有限会社菓楽 代表取締役 丸山拓也氏
私は以前は食品会社の営業を担当していた関係で取引先であった大和郡山市で先代がやりくりしていた創業11年の洋菓子製造販売の店舗を引き継いだ。
技能伝承についての重要性は、認識しているものの、今まで取組みは全くしてこなかった。
28年4月から従業員を一新し、工場の衛生面から立て直し、新たに工場長として経験者を雇い入れ前任者からも聞いてデータ化に努めている。リタイヤ(定年)された、技術者の雇用によって、技能伝承が出来ればと考えています。また、ものづくりマイスターの派遣により洋菓子の基礎を教えてもらっている。


株式会社丸島アクアシステム 総合戦略センター 部長代理 木本誠氏
当社は主としてダムの水門を製造している。製造に携わる従業員70名のうち、50名が社員、10名がベトナムからの研修生、10名は外注である。100%公共工事に関わる、官庁の元請けが主である。
この50人の技能をどう伝承していくか、それが課題である。当社の製品は、水門や橋など数十年の寿命のもので、すべてオーダーメイドであり、繰り返しの作業(技能)がない製品ばかりである。たとえば今、何年も作っていない橋が、またすぐに作れるかと言ったら難しい。そこで、当社では社員教育にOJTをベースに据えていますが、実際のOJTでは主にスキルマップを活用している。また、チームとして熟練者と若年者を組んでいる。OJTで溶接技量を磨き、技能向上のため技能検定制度を導入している。また溶接協会等の競技大会に出場して成績を残している。定時後であるが練習場を開放して環境づくりをしている。


植平工業株式会社 代表取締役社長 植平秀次氏
技術の伝承・部門の伝承は頻繁に変わることはないが、チームを組んで技能伝承に結びつけている。
資格取得は処遇面で優遇している。

補足として
株式会社クスダ 常務執行役員 吉田晴彦氏から説明があった 技術者をOJTを中心に成果を反映させる。 評価は面談で「こうこうこうだよ」と細かいところまで説明する。とのことである。

最後に有識者の元DMG森精機株式会社 人材開発センター所長 原田 久夫氏からまとめがあり、 本日の意見交換会で、技能伝承のため大変な努力をされていることが分かった。また、品質・環境等のマネジメントシステムの認証を得ている企業は、技能伝承対策も積極的に多く実施されている。

好事例発表、意見交換会参加企業から発言のなかった、資格・認定制度等による技能の評価、職能給等による処遇について、参加者の参考になればと自身が行った具体例の紹介があった。また、技能伝承に最も大切なことのひとつに、上司と部下、伝承者の熟練技能者と若年技能者との信頼関係がある。

若い技能者を、仕事(技能)を覚えようという、その気にさせることが重要です。
そのためには、技能はもちろん態度も含めて、良いことは褒め、改善すべきことも、逃げずに親身になって面談で指導することが必要なことが付け加えられ終了した。

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